相棒として大切に、永く愛用し使い続ける上で欠かせないのが「修理」。
土屋鞄には、つくる職人だけでなく、お客さまのご愛用品と日々向き合っている熟練の修理職人たちがいます。
今回は、そんな修理職人の「右腕」である修理道具に焦点を当て、その思いとこだわりをご紹介いたします。
修理職人・丸が日々愛用している修理道具たちの多くは、丸が自分の手の形や大きさ、指の長さ・修理の際の力加減などに合わせてカスタマイズした世界に一つだけの道具です。
「やっとこ」は、パーツとパーツを圧着させる際に用いる道具。お客さまの大切な製品を傷を付けないように、つかむ部分の角を丸めてから革を巻くなど、職人が手を加えています。
また手に硬いマメができると、それで製品に傷を付けてしまう可能性があるため、金属の固いハンドルにも柔らかい革を巻いて、手を守っています。
金具を留めるために打たれた鋲の頭をカットした後、まだ少し出ている部分をつぶして丸める際に使用するのが「からくりハンマー」。打つ部分が真っ平だと、角が当たって周りの金具部分に傷を付けてしまう可能性があるため、角をやすりで削って丸め、さらに砥石の粉で磨きます。そのことにより、鋲部分だけをうまく打ち付けることができ、金具を傷付けません。
革を切る際に使用する「革包丁」。自分に合う刃の角度を徹底的に追求し、ひたすら研いでは使って、使っては研いでを繰り返し、現在の形にたどり着いたのだそうです。
革を切る際に手首がスムーズに動かせて、微妙な力加減を伝えやすくなるよう、柄の部分も自分の手の大きさにあわせてカット。刃と柄の間に小指がちょうどかかるよう、柄から出ている金属部分の長さを調整することで、複雑な動きの際もコントロールしやすくなっています。
新品をつくる時とは違い、修理品はお客さまの愛用の仕方も共に過ごしてきた年月も違うので、二つとして同じコンディションのものはありません。「だからこそ、一つひとつに最適な修理方法を見出すために、これまで蓄積してきた知識と経験を生かして、受付スタッフと何度も話し合いながら進めることを大切にしています」と、丸は語ります。
形あるものは、どんなに大切にご愛用いただいても、長年使えば壊れることもあります。お客さまと愛用品の幸せな関係が1日でも永く続くように支えていきたい。そんな思いから、つくり手である私たちは修理にも力を注いでいます。もし、修理でお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
「革の種類によって、お手入れ方法は違うものなの?」ーーそんな疑問にお答えして土屋鞄のシリーズごとに革の魅力とお手入れポイントを連載でご紹介しています。革の特徴に合ったお手入れで、長く愛着を持ってお使いいただけますように。
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